
著者 鹿毛おどり イラスト chooco
第20回MF文庫J新人賞受賞作!
不死の少年と魔法師な少女の
最後を旅するロードファンタジー
不死の少年と魔法師な少女の
最後を旅するロードファンタジー
あらすじ
勇者によって魔王は討ち倒され、この世界から魔王の脅威はなくなった――だが世界は平穏を手にすることはできなかった。決戦時の強大な魔力の余波が、人類を侵し滅びをもたらしてしまったのである。世界の平和と人々の命を守るために尽くした勇者一行の一人・魔法師エルメもその例に漏れず、大切な人を失い、自らの死期もそう遠くないことを悟った。孤独となり自身の存在意義と未来を見失った彼女は、がむしゃらに王都から飛び出した先で、アンデッドの少年と出会う。不思議な彼に勇気を貰い、余命わずかな少女と不死の少年は、終わりゆく世界を巡って、幸せな思い出と生きた証を後世に残すことを目指す旅に出る――(KADOKAWA公式サイトより)
感想
不死の少年と魔法師な少女の最後を旅する物語。勇者と魔王の戦いによって滅びが訪れようとしていた世界で、アンデッドの少年と出会った、勇者な魔法師・エルメが、彼と共に最後の冒険をすることにして始まる、想いが結ぶ旅が楽しめる作品でした。
勇者と魔王が衝突し、魔力が暴走して人体に影響を及ぼすようになった世界。義父であった国王が亡くなり、勇者の1人であったことで「平和という責務を果たせなかった」と罪悪感を抱く中、1人途方もなく走り続けていたエルメはある日、アンデッドの少年と出会います。
名前もないアンデッドな彼に世界の事情を話し、満足に終われる結末を探しに行こうと告げられたエルメ。そんな彼女はアンデッドな少年と冒険の軌跡を辿ることにするんですよね。始まっていく、アンデッドとの旅。
アンデッドとの旅の中で死が迫った少女は何を伝え、不死の少年は何を繋いでいくのか。山脈の頂で星を眺めたり、名前をつけてもらったり、魔法を教えてもらったり、彼女との未来が終わることに恐怖を覚えたり、など。
退屈な日々が嫌で少女を旅に誘った少年が、日に日に体を蝕まれていく少女と旅をしながら、たくさんのことを伝えられ、学び、少女のために最後まで歩いていく、繊細な文章でつづられる不死の少年の旅が面白かったです。
この作品、後半、少女が亡くなってからのアンデッドの旅が描かれていくんだけど、ここからが本当に良くって。愛していた大切な人が亡くなった、彼女のために何かを残そうと、約束を果たそうと、思い出を留めておこうと、アンデッドの少年は旅をつづけるんですよ。
じゃあ、その先に何があるのか! 余命僅かな少女と出会った不死な少年の、想いが繋ぐ旅物語が楽しめる1冊でした。
以上、ラノ感でした!
レーベル | MF文庫J |
ジャンル | ロードムービー |
おすすめ度(評価) | ★★★☆☆ |
ページ数 | 328 |
発売日 | 2024年12月25日 |
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