著者 二月公 イラスト さばみぞれ
この役をやってもらいたいんです
やすみが夢を追いかける
声優ラジオの青春エンタメ第12巻!
やすみが夢を追いかける
声優ラジオの青春エンタメ第12巻!
あらすじ
「獲りに行くぞ、由美子の夢を」声優として経験を積んだ由美子は、遂にプリティアのオーディションへ。だが、 競争率は凄まじく高く、強力なライバルは大勢いて――。「わたしも受けるわ、次回のプリティアを」「今年は自信あるの。今までで、一番」 運命共同体の千佳、頼れる先輩の乙女。共に演じる仲間になるか、同じ役を争うか……。分からないけれど、今回だけは譲れない! 決意を胸に挑んだ由美子に待ち受ける結末は、意外なもので!?「あなたの夢を――、我々にください」 シリーズ最大の夢へ挑戦する、青春声優ストーリー・第12弾!(KADOKAWA公式サイトより)
感想
前巻(11巻)のお話
前回の感想はこちらから
登場人物をまとめたりもしているので、良かったらこちらも見て見てくださいね!
試し読みまでのお話
プリティアのオーディションに挑むことになったやすみ。そんな中、乙女と夕陽もやすみと同じ役に挑むことに決めていて――というのが試し読みまでのお話。
ここからは少しネタバレが含まれるので、読んでない方は注意してください。
プリティア
さて今回はプリティアと夢と現実な回でした!
加賀崎さんから『プリティア』のオーディションに挑戦しようと言われたやすみ! 朝加さんから夢を聞いたやすみと夕陽は、卒業旅行で名古屋に行くからと纏さんに名古屋のおすすめを聞いちゃいます。……うん、本当に名古屋何もないのよね…。
レゴランドとか水族館とか、あるにはあるけれど、名駅からは遠いし、その付近には他に何もないし、スイーツ系もほぼないし、ジブリパークは名古屋じゃないし、名古屋から離れたらほぼベッドタウンや田舎という…。あ、モーニングは自慢です。小倉トースト!
「わたしも、受けるのはティアブレイブハートだよ」
(63ページ 引用)
――話を戻して。ティアラの配信を終えたやすみ。そんなやすみは乙女と自分が受ける役が被っていたことを知ります。日本一になりたいという目標を掲げていた乙女が相手。手強いけど、今まで努力してきた、今勢いのある、やすみなら。
そう思っちゃったのも束の間、卒業旅行中、やすみは夕陽からも同じ役を受けることを告げられちゃうんですよ。夕陽にとってはあまりやらないタイプで声優としてステップアップするため、やすみにとっては夢で、憧れで。
「夕暮夕陽は、こんな役もできるんだぞ、って周りに示せる。新たなステップになる。だからわたしは、ティアブレイブハートに一番魅力を感じたの」
(98ページ 引用)
この違いはあるけれど3人とも同じものを狙っているんだよね。そして、役は違うけど、花火やめくるちゃんも。(高橋ちゃんは受けられなかったみたいだけどね…?)
この3人だけじゃなくて、この作品のメインの女性声優がオーディションを受けようとしてるのが、他の受ける人もいて、全員、憧れの『プリティア』になろうとしてるのが分かって緊張感が高まってくるよ。
そしてオーディションを受け終わったやすみ。ずっとオーディションのことがちらつく中、ようやく加賀崎さんから連絡が来るんです! ただ、それは落ちたという結果だったんですよ。もう私まで泣きそうになっちゃったんだけど、やすみにとっては夢なんだよね。
「プリティア」が夢。その夢が目の前にあったのに掴めなかったんだよ。しかも、勝ち取った人は桜並木乙女。やっぱりこの人。こんなのどれだけ悔しいか。共演したその相手がって。ただ、まだやすみと夕陽には次がある、かもしれない。ただ、やすみに不幸が訪れます。
プリティアに一度出演した声優は、今後プリティアシリーズには出られない。
(135ページ 引用)
ここからはネタバレすぎるので言わないけど、こんなの辛すぎますよ! 読んだ瞬間、抑えきれなくて読メに感想書いちゃったんだけど、やすみにとって「プリティア」は夢だったんだよ。その夢を追いかけて声優頑張ってきたんだよ。いつかなれるって。
それをさ、「この役をあなたにやってほしい」と演技を認められたって言ったってさ、堪えられるわけないじゃん! だって、選ばれたのはプリティアじゃないんだもん! 自分がなりたかったものじゃないんだもん! もう夢を諦めなきゃいけないんだもん!
「あたしはもう……、もう無理だよ、渡辺……。ごめん、ごめんね、渡辺ぇ……」
(251ページ 引用)
声優としては嬉しいかもよ。でも、気持ちの問題なんだよ。憧れの、憧れを大人の事情で奪われたんだよ。そんな絶望がもう何ページも続いてて。お酒を飲もうともしちゃっててさ。耐えられるわけがなかったよ。
ただ、そんなやすみを少しでも救おうとしたのはライバルである夕陽で。かつて、裏営業疑惑で絶望していたところを“歌種やすみ”に救われた声優の“夕暮夕陽”なんだよね。大野さんと森さん、かつてのプリティア声優に憧れを少しだけ叶えてもらった後の涙。
「じゃあどういうつもりだと言うのだ……! お前に、お前に何が分かる……ッ! プリティアになったお前に、プリティアになれたお前に……ッ! この私の、何が、分かるっていうんだあああああああああああああああああああァ――――ッ!」
(311ページ 引用)
そして、悔しさを胸に舞台に立った彼女が「プリティアになりたくて、なれなかった女の子」として、乙女たちプリティアに対してのこの上の叫び。表紙がまだ笑えてるのにこれはないよ……。
前回の感想で、今の演技からだったら敵キャラになることも考えられる。とか書いたけど、これはないよ…。12巻でここまで感情を揺さぶられるとは思いませんでした。13巻、やすみがどうなっていくのか、楽しみで、怖くもあります。
以上、ラノ感でした!
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