
著者 二語十 イラスト うみぼうず
《虚空暦録》とはこの世界を〇〇〇〇
あらゆる正義が巨悪に立ち向かう
たんもしシリーズ第10巻!
あらゆる正義が巨悪に立ち向かう
たんもしシリーズ第10巻!
あらすじ
失われた世界の記録を修復するため名探偵の助手として働く俺・君塚君彦は、その異変の原因が怪盗・アルセーヌにある可能性に行き着いていた。また怪盗の正体が世界最悪の犯罪者アベル・A・シェーンベルクであるという仮説のもと、昔アベルを追っていた暗殺者・加瀬風靡を探し出し話を聞くことになるがーー「覚えておけ、君塚。正義なんて、本物の悪の前ではいくらでも揺らぐということを」やがて明らかになるのは、あらゆる正義が巨悪に立ち向かった戦いの記録。世界によって秘匿された《虚空暦録》の正体。当時そこに辿り着いた俺たちが下した決断はーー。これは正義を追求した者たちの、理想と意志を問う名もなき英雄譚。(MF文庫J公式サイトより)
感想
試し読みまでのお話
異変の原因が怪盗・アルセーヌにある可能性に行き着いていた君塚。《ネバーランド計画》の黒幕・アベルが、《怪盗》アルセーヌだと仮定した君塚は、シャルと再会し――というのが試し読みまでのお話。
ここからは少しネタバレが含まれるので、読んでない方は注意してください。
正義
さて今回はシャルと暗殺者と《システム》な回でした!
シャルと再会した君塚! シャルに誘拐される中、有坂梢について尋ねた君塚はヤギ頭に襲われ、風靡さんに助けてもらいます。しかし、そこに風靡さんの婚約者と名乗る美男子・ライアンが現れるんですよね。
いきなり現れたライアンは何かありそうで気になるけど、今回の敵はあの《怪盗》。一筋縄じゃいかないことは分かってるけど、成長した君塚たちがどこまで立ち向かえるのか。さて、それぞれの立場からアベルを捕まえることにした君塚たち。
「一番小さいときの記憶は四歳か五歳ぐらいの頃。でも、当時から、両親の愛情はワタシに全く向いていなかった」
(99ページ 引用)
イギリスから帰国し、シャルと有坂梢の潜伏地へ向かった君塚――だったんだけど、そこには誰もいなかったんです。どこにいるのか分からない中、シャルの口から語られたのは過去。彼女の母親は、自分を見ずに病弱の弟にかかりっきりだったそうなんです。
2年間マームと呼べたことは一度もない。あれだけシエスタにマームと懐いていたシャルが語った家庭環境は、笑ってると書かれてても笑っていないように思えて…ね。さて、盗まれてしまったアカシックレコードへ至る地図。
「世界中に散らばった《虚空暦録》へ至る地図を、アタシたちの手で回収する」
(108ページ 引用)
地図を回収することにした君塚は、夏凪と地図の所持者のもとへ! 2人から地図を回収した君塚は、リルと会話中に親のことを聞くんですよね。一人暮らしをしていたことを明かしたリルだったんだけど、たまには連絡を交わしているそうで。
もし目の前にそういった理想を追い求めている人間がいた時、俺はなにか言葉を与えることはできるだろうか。母を、家族を、理想を追い続ける孤独のエージェントがいたとして、その時俺は……。
(155ページ 引用)
その後の君塚のモノローグが、上のものなんだけど。こういうときどう言葉を与えればいいのか。エージェントじゃなくたって、そういう子がいた時のために何を与えてあげるかは、あげられるかはその時次第で、自分次第だろうけど、考えものですよね。
さてさて、有坂梢も地図を持っていることが分かり、シャルと共に彼女の潜伏先へ行った君塚。亡くなった弟のノアを連れてきてという彼女に嘘を吐いて、地図の保管場所を聞いたシャルは《怪盗》アルセーヌとぶつかってしまいます。
「アナタと一緒なら、
なんだってできる気がする。
だからお願い。
手を握って――一緒に戦って。」
なんだってできる気がする。
だからお願い。
手を握って――一緒に戦って。」
(284ページ 引用)
ここからはネタバレすぎるので言わないけど、シャルと風靡さんの過去が良かったんですよ。まずシャルから話すんだけど、弟ができないことを代わりにする、母に認めて貰うにはそれしかないと思っていた。19年間、使命のために生きた。
そんな彼女の叶わない理想のために戦い、家族の一瞬があったことに泣いて、手を差し伸べてくれた人と意志を持って一緒に戦い世界に一撃を与える、繋がれた小さな愛の瞬間がみえて素敵でしたね。
「《暗殺者》加瀬風靡の正義だって、間違えてなかった」
(7巻 64ページ 引用)
そして、風靡さん。彼女が捕まっていることや、元《暗殺者》になったことは7巻で明かされてましたが、本当に彼女の正義は間違っていなかった。テロリストから要人を守り亡くなった父親、その意志を継ぎ、裏と表から世界を守ると誓いあい、ぶつかってしまった幼馴染。
正義の向いてしまった矛先は良くも悪くもでしたが、暗殺者の使命ではなく本物の正義を遂行した風靡さんの戦いはカッコよかったです。そしてそして、夏凪ですよ。
「じゃあ、これから渚と呼ばせてもらおう」
(317ページ 引用)
1巻でちょっと君塚との出会い方を間違えちゃった夏凪だけど、ちゃんとセーラー服を着て出会いをやり直し! 口の中に指を突っ込むってまずおかしかったもんね…(あれは何だったのか…)。
「あんたが名探偵?」から始まっての名前で呼び合うことにしての挿絵でニッコリ笑顔。愛されるより?とかは無くて一安心でしたが、(今はどうなんでしょうね…?)大台の10巻で1巻のやり直しは嬉しかったりしますよね。
そして、そして、そして、3巻かけてですが、やっと明らかになった《虚空暦録》の正体。11巻はきっと6巻と7巻の間にあったことが分かることでしょう。(毎回、7巻を見返してるのでもうそろそろ…ね?)
《終末時計》とは《大厄災》とはまだまだ謎が多い物語がどんなハッピーエンドを迎えるのか。11巻は2024年春に発売みたいです。《連邦政府》が隠している真実。3巻続けて、アイスドールがどこにいたかも明かされない中で、謎がどう明かされていくのか、楽しみですね!
以上、ラノ感でした!
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