週に一度クラスメイトを買う話～ふたりの時間、言い訳の五千円～　感想 : のらくらラノ感

著者　羽田宇佐　イラスト　Ｕ３５

第7回カクヨムコン受賞作！
気まぐれな女子高生の
ちょっと危ない聖域物語。

目次1 ▯あらすじ
2 ▯感想
3 ▯章ごとにいろいろまとめてみた

あらすじ

彼女――宮城は変だ。週に一回五千円で、私に命令する権利を買う。一緒にゲームしたり、お菓子を食べさせたり、気分次第で危ない命令も時々。秘密を共有し始めてもう半年経つけれど、彼女は「私たちは友達じゃない」なんて言う。ねぇ宮城、これが友情でないのなら、私たちはどういう関係なの？　あの人――仙台さんでなければいけない理由は、今も別にない。私のふとした思い付きに彼女が乗った、ただそれだけ。だから私は、どんな命令も拒まない彼女を今日も試す。……次の春、もし別のクラスになったとしても彼女はこの関係を続けてくれるだろうか。今は、それがちょっとだけ気がかりだ。

（ファンタジア文庫公式サイトより）

感想

気まぐれな女子高生のちょっと危ない5千円の物語。クラスでは目立たない位置にいる女子高生・宮城志緒理が、クラスで目立っている少女・仙台葉月に5千円を祓って、命令する権利を買って始まる、クラスメイトを買う話が楽しめる作品でした。

クラスでは目立たない位置にいる宮城。彼女はある日、仙台さんがレジで困っているのを目撃します。レジの人に5千円を払い、仙台さんにお釣りをあげた宮城。そんな彼女は、お金を返すと言ってくる仙台さんに「じゃあ、5千円分働いて」といってしまうんですよね。

始まっていくクラスカースト上位と下位の不思議な関係。1回五千円で命令する権利を買った宮城はどんな命令をするのか。また仙台さんはなぜ彼女の命令を受け入れているのか。1回五千円のふたりきりの時間。

チョコレートを食べさせてもらったり、ポップコーンを手を遣わず食べさせたり、足を舐めさせたり、などなど、友達でもない恋人でもない5千円の契約をした2人が、行為を続けていくうちに心のすき間を埋めていく、2人の視点で描かれる時間が面白かったです。

最初は誰でもいい関係だったけれど、一緒にいるうちに2人は、求められる道、1人の時間が多い空間、など辛さを埋め合う居心地の良い場所となっていて。命令は過激になっていて。そんな2人がすれ違い、求めて、つながってしまった先、どうなっていくのか！

気まぐれな女子高生のちょっと危ない5千円の物語が楽しめる1冊！　彼女たちがどうなっていくのか、楽しみですね。

特設サイトがあるそうなので、良かったら見て見てくださいね！

以上、ラノ感でした！