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著者 竹町 イラスト トマリ

『灯』の守護者になるんです
最弱の少女が最弱相手に駆け回る
不可能任務に挑むスパイ物語第8巻!

目次1 ▯あらすじ
2 ▯感想

 

あらすじ

『蛇』の謀略により崩壊寸前の『灯』。危機的状況を前に立ち上がったのは、チーム最弱の少女――サラだった。かつて実力不足で任務から外された非選抜組のメンバーとともに、弱者と侮られた少女の逆襲が始まる――。

(ファンタジア文庫公式サイトより)

感想


前巻(7巻)のお話

男女間の恋愛が全てと教え込まれるという家庭環境で育ち、スパイ養成学校の成績優秀者たちの合同演習で『煽惑』のハイジに、心を灯せない奴はゴミだと言われて、手を抜くようになっていたモニカ。

好きになっていたリリィを殺すと脅され、『灯』を裏切って、翠蝶と行動を開始したモニカは、ティアと連携し、空間内全てを見通す計算能力とヴィンドから伝授された『炮烙』のゲルデの神速で、『翠蝶』やCIMたちを翻弄したのだった。

前回の感想はこちらから

登場人物をまとめたりもしているので、よかったらこちらも見て見てくださいね!




試し読みまでのお話

CIMの裏切者を暴き出した『灯』。モニカが生死不明の中、白蜘蛛は自分が倒すと宣言した『灯』最弱のサラは、アネットが病室を脱走したことをしり――というのが試し読みまでのお話。


ここからは少しネタバレが含まれるので、読んでない方は注意してください。



駆け回るサラ

さて今回はサラと炯眼と弱者な回でした!


白蜘蛛は自分が倒すと宣言したサラ! 『ヴァナジン』の副官・ミーネが監視してくる中、アネットが病室を脱走したことを知ったサラたち、非選抜組は、血を吐きながら座り込んでいつつも、モニカを〇そうとしているアネットを見つけるんです。


「俺様――モニカの姉貴を殺しに行きます」
(61ページ 引用)


ジビアやリリィが病院に連れ戻そうとするも、アネットは感情を吐き出して。こんなアネットははじめてですよね…。モニカとは違った1人世界を歩んでいるアネット。真っ赤なものとは、血なのか、戦争なのか、アネットの心が少し見えた気がします。


そんな暴れるアネット。それを止めたのはサラでした。彼女に抱擁し、悪者になっても自分は受け止めると寄り添ってきたサラをアネットは受け入れたんですよね。そしてアネットを〇そうとしていたミーネにサラはこう告げたんです。


「『灯』の守護者――自分は、仲間を誰一人死なせないスパイになるんです」
(74ページ 引用)


親のためにスパイになり、動物たちという仲間を大切にする、サラらしいスパイ像ですよね。さて、アネットを受け入れたサラ。病院に戻ろうとする4人、だったけど、アネットが病院から抜け出せたのは、クノーが助けてくれたからと言い出すんですよ!


『鳳』の中でも死亡確定と言われてるクノーが、まだ生きてる…?と思っちゃうわけですが、それを聞いたリリィたちは、白蜘蛛を倒すために、『鳳』を蘇らせることにするんです。ヴィンドたちが蘇るってどうやって…。


「現状、『蛇』のメンバーは二人。ボスとわたしだけなんだ」
(104ページ 引用)


さて話は変わって、小説の代筆で『蛇』に入ったときのことを書いていた白蜘蛛! そんな彼は昔陸軍に所属していたそうなんです。上官と衝突して無職になり、トラブルを解決しては小銭程度の報酬を得ていた白蜘蛛。そこで出会ったのが『蛇』の藍蝗だったんですよね。


『蛇』のボスに《暁闇計画》を告げられた白蜘蛛は、弱さを愛する力を買われ、紫蟻たちを1人で『蛇』に誘い、ギードとぶつかって命乞いして生き残って。ギードはフェロニカが1人で極罪を背負おうとしていることを知って、阻止するために『焰』を壊滅させた、と…。


…うん。《暁闇計画》が何にせよ、弱さを愛する白蜘蛛についた師匠ギード。ティアはフェロニカの道を進むだろうけど、《暁闇計画》を知ったら、『灯』もまた『焰』と同じように仲間割れになりそうだよね…。モニカのように1人ではなく頼れば、変わるかもだけれど、これどうなっていくんだろう。

「『花園』×『百鬼』――咲き狂い、攫い叩く時間」
(204ページ 引用)


さてさて、動き出した『炯眼』。『蛇』最弱の白蜘蛛がクラウスのもとへ向かう中、『灯』最弱のサラが白蜘蛛と対します。ということでここからはネタバレすぎるので言わないけど、『鳳』と『灯』、『灯』と『灯』の合わせ技が良かったんですよ。


ジビアはビックスと、そしてリリィはアネットと連携していて。今までは連携することもあったけど、詐術も加わって、時間口上?も合わさって、強敵に立ち向かっていく『灯』の勇姿がさらに増した気がします。他の子たちだったらどんな技になるかも気になりますよね!


「コードネーム『炯眼』
――天に舞う時間でござる」
(249ページ 引用)


そして、炯眼ですよ。いや、私の考察の時間、返してよ! って、思っちゃうくらいお腹抱えて笑っちゃいました。登場人物まとめをずっと見返して、炯眼の字に関わるあれこれ調べまくりましたからね? ほんとにもう騙された…。結局誰かって? それはぜひ本編で!

「だから今、自分は、間違いなく強者なんだと胸を張れるんです……!」
(289ページ 引用)


そしてそして今回はなんといっても“サラ”ですよね。戦いは苦手、モニカに教えてもらいながら、ようやく手にした彼女なりの詐術。『灯』の守護者になることを決意した彼女の最弱で最強な闘い方に感動しました。

《暁闇計画》とは何なのか! 次回からサードシーズン! まだ明かされていないリリィたちの詐術や過去なども明らかになってくることでしょう。1周回って表紙が誰になるかも気になるところ! 彼女たちはどう戦うんでしょう、9巻、楽しみですね!


以上、ラノ感でした!