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著者 久追遥希 イラスト konomi(きのこのみ)

望む結末を得ることができるアビリティ⁉
三年生の《習熟戦》に最強が舞う
逆転学園頭脳ゲーム第9巻!

目次1 ▯感想
2 ▯9巻まとめ

 

感想


前巻(8巻)までのお話

前回は《SFIA》に勝利した篠原たちが、学年別対抗戦《修学旅行戦》で、カジノ島に行っていましたね。【ファントム】という天音坂を勝利へ導く【ストレンジャー】が彩園寺更紗に怯え、森羅に協力することになって。

ジャックボットタイムで共闘し、【ファントム】を最終セットで負かした篠原たち。そんな中、現れた【バイオレット】こと、羽衣紫音こと、本物の彩園寺更紗。雫と枢木率いる聖ロザリア&栗花落連合が【バイオレット】を味方につけ、篠原が【ファントム】と交渉して。

辻たち英明2-Aのクラスメイトが、天音坂の矢倉に大逆転して始まっていく最終日の【☆5】ゲーム【ドミネートポーカー】。橙の星の特殊アビリティで【ファントム】と彩園寺と協力して【バイオレット】を破った篠原たちは、《修学旅行戦》に勝利していました。


前回の感想はこちらから


試し読みまでのお話

【バイオレット】を破って《修学旅行戦》に勝利した篠原たち。榎本からの要請で学園に戻ることになった篠原は、敗退寸前だった三年生の対抗戦《習熟戦》宝物乱獲ダンジョン〈決闘〉に挑むことになり――というのが試し読みまでのお話。


ここからは少しネタバレが含まれるので、読んでない方は注意してください。



《習熟戦》

さて今回は《習熟戦》と《アルビオン》のシナリオな回でした! (今回も多くなっちゃいました…)


榎本会長の要請で三年生の対抗戦《習熟戦》に《追加選抜》として姫路さんと参加することになった篠原くん! しかし英明は、榎本会長のおかげで敗退していないものの、元エースが出場拒否し、他は小悪魔先輩と浅宮先輩だけという絶望的な状況だったんです。


古賀先輩は今回登場すると思ったけど、出場拒否って…。《ヘキサグラム》の無根拠な正義が原因らしいけど、現エースと元エースが一緒に戦ってるところ見てみたいですよね。さてこんな英明。しかし、最初は摩理ちゃんが一年生の対抗戦《新入戦》を勝ったことで、順調だったそうなんですよね。


「ああ。故に、やはり“誘導”という言葉が正しいのだろうな。《習熟戦》の黒幕は、他学区のプレイヤー陣を――おそらく僕も含めて――思惑通りに動かしている。」
(70ページ 引用)


ただ、晴嵐に横取りされて敗北寸前に。英明だけの動きを見ていたって…彩園寺のスト――元色付き星は、やることが違います。そんな中、榎本会長は嫌な予感を覚えていました。それは黒幕がいるかもしれないということ! 相手は3年生ですからね。どんな強キャラが出てくるのか…。


シナリオライター

さて、篠原くんが参戦したこの《習熟戦》。内容は簡単にいうとダンジョン育成+ダンジョンでの宝探しです。防衛ターンは自分のダンジョンの核となる固有宝物を守るため、ダンジョンを操作!


侵攻ターンは、防衛ターンの学区のダンジョンに潜入して、宝物を入手あるいはモンスターを倒して、ポイントを獲得し、自分たちのダンジョンを強化していく。また、固有宝物を獲って、相手を敗退させて、最終的にダンジョンの総合評価をSにするというものです。


しかし、今の英明は他学区がCなのにEなんですよね…。しかも他学区は晴嵐や霧谷、森羅の《追加選抜》で阿久津雅、そして新キャラ、桜花の生徒会長・坂巻夕聖と《女帝》親衛隊のまとめ役・清水綾乃、天音坂の最強で【ファントム】の従姉な奈切来火と強敵ばかり!


「とにかく僕が使ってるアビリティはこれだ――《シナリオライター》。定められたシナリオを辿り切ることで、望む結末を得ることができるアビリティ」
(85ページ 引用)


さてそんなEランクな英明。このランクは実際のバトルの強さにも影響していて。篠原くんは初めて入った音羽のダンジョンで晴嵐に追い返されちゃいます。そして英明の防衛ターン。篠原くんは榎本会長が言っていた黒幕と出会ってしまうんです!

その黒幕の名前は越知春虎。霧谷や不破兄妹が入っている《アルビオン》のリーダーで、白の色付き星所持者です! ここで出てきちゃったよ、アルビオンのリーダー! そんな越知と出会った篠原くんは彼から、白の色付き星のアビリティで記された5つの予言を告げられます!


シナリオと結末

【第一の予言:轟音と衝撃により貴方は足元を掬われ、愚かにも敵の侵攻を許すだろう】
【第二の予言:赤竜の咆哮が桜離宮に響き渡り、貴方は仲間を失うことになるだろう】
【第三の予言:天への刃と森への反逆はいずれも失策になるだろう。怒りを買った貴方たちは、絶体絶命の窮地に追い込まれる】
【第四の予言:森が天をも呑み込み、やがて手が付けられない脅威となるだろう】
【第五の予言:漆黒の塔の中で、君たちは《習熟戦》に敗北するだろう】
(90ページ 引用)



始まっていくシナリオとの対決! 予言通りにことが進む中、《追加選抜》として、やっとあの摩理ちゃんの姉・真由が登場し、篠原くんたちに着いてきていた【バイオレット】こと羽衣さんが、熱を出した小悪魔先輩の代わりに出場して、英明はどうなるのか!


というわけで、ここからはいつも通りネタバレすぎるので言わないけれど、まずお姉ちゃんのほうが登場して嬉しかったですね。2巻からいつ出てくるのか待ちわびていたけれど、喋らなかったけど、顔は見せなかったけれど、良かったよ、ほんと。


予言を覆すため【ファントム】の従姉でもある奈切来火と【バイオレット】羽衣さんが対決することになって。主人公ちゃん(夢野ちゃん)は相変わらずだったけど、二面性のある奈切が、ここで8巻の【ファントム】の思いをのせ、従弟のことを思って戦う闘争心あふれた姿は、見ていてワクワクさせられるものがありましたね。


「認めたくはない事実だが……僕と七瀬がまともに組んだ場合、誰かに敗北したことなど一度もない。そちらの優先順位など、全くもって関係のない話だ」
(278ページ 引用)


最後は漆黒の塔の中、森羅との戦いが行われて。逆転劇は今回も見ごたえありました。《アルビオン》が今後何をしてくるのか、彼らの目的が気になりますね。


9巻まとめ


というわけで9巻の感想・レビュー?でした。

《修学旅行戦》に勝利した篠原たちは、榎本会長の要請で三年生の対抗戦《習熟戦》に参加していましたね。英明は摩理の《新入戦》での活躍で序盤は好調だったけれど、狙っていた固有宝物が奪われてから、黒幕の存在によって最下位になっていて。


防衛ターンに黒幕だった《アルビオン》のリーダーで、白の色付き星所持者だった越智が篠原の前に現れ、告げられた5つの予言。篠原たちに着いてきて居候することになった【バイオレット】こと羽衣さんが秋月先輩のアバターを借りて。

水上真由が榎本会長と交代して指揮官をすることになり、始まっていく越智のシナリオへの逆転劇。第四の予言を外させるため、羽衣さんとペアを組み、天音坂の最強で【ファントム】の従姉の奈切と戦って勝ったけれど、天音坂に脱落された篠原。


逆転がほぼ不可能な中、羽衣さんが天音坂のダンジョン「天網宮」を維持していたことで、英明の固有宝物を「天網宮」に移した篠原たちは、森羅に罠を踏ませて、英明の防衛ターンを森羅の防衛ターンに変更。


霧谷による固有宝物が映っている画面を当てる《決闘》に勝ち、英明は森羅の固有宝物を手にして、「天網宮」の総合評価をSにし、《習熟戦》に勝利したのだった。


《習熟戦》と越智のシナリオな第9巻! 篠原たちの逆転劇で終わる、というほぼ予測された物語を5つの予言という形で明記し、その予言を、シナリオを崩すため、策を尽くし戦う英明の逆転劇に胸が熱くなりました。今回も最高に面白かったです。

榎宮会長や秋月先輩、摩理ちゃんなど、篠原がいない英明の強さが今回の学年戦でさらに明らかになって。とくに榎宮会長の戦況把握能力や指揮能力は改めて驚くものがありましたね。

さて次回はカップル恋愛ゲーム戦! 篠原は誰と参加するんでしょうか! 会長と浅宮先輩や、真野さんと藤代くんは参加することでしょう。そして最後に明らかになった越智のシナリオとは。《アルビオン》の目的も明らかになり、ますます熱くなる星の行方。10巻も楽しみですね!


以上、ラノ感でした!