img20210915_21402947

著者 海空りく イラスト さばみぞれ

お前に俺を選んでほしかったんだ
向けられる愛情に心が揺れる
"不"純愛ラブコメ、『崩壊』の第3巻!

目次1 ▯あらすじ
2 ▯感想

 

あらすじ

「晴香のこと、忘れさせてくれ」 あの日、恋人・晴香の拒絶にショックを受けた俺は、時雨にとんでもないことを言ってしまった。留守電に残された、結婚すら視野に入れた晴香の覚悟に恥ずかしくなる。反省した俺は時雨に言葉の取り消しと謝罪を申し出る、が――「後戻りなんてさせない。絶対に。忘れさせてやる」 時雨は俺たちの今までの関係をネタに脅迫してきた! 晴香とやり直したいのに、逆らえず時雨にキスをする俺。でもそれが不思議と嫌でもなくて――

(GA文庫公式サイトより)

感想


前巻(2巻)のお話

前回は、時雨にキスをされた博道が、彼女とのキスを忘れられず、晴香とのキスで上書きしようとしていましたね。晴香とデートして、時雨の看病をして、海キャンプを楽しみ、晴香とのキスで気持ちが高ぶり抑えきれなくなった彼は、彼女に突き飛ばされて。

「こういうのは『好き』じゃない」と告げられ、自己嫌悪に浸っていた博道は、時雨に受け止められてラスト。晴香に触らないで、と拒絶され、時雨に縋りついて泣いていました。


前回の感想はこちらから


試し読みまでのお話

晴香に拒絶され、時雨に抱かせろよと言ってしまった博道。晴香からの留守電を聞き、心を入れ替えようとしていた彼は、時雨に全部姉さんにバラしますからと脅されて――というのが試し読みまでのお話。

ここからは少しネタバレが含まれるので、読んでない方は注意してください。



本当の愛

さて今回は求めてしまう幸せと我慢な回でした!


時雨に脅されてしまった博道くん。「愛してる」と言わされ、蜘蛛嫌いを利用して脅迫をし返すアイデアを思いつくも、怖がって同じ部屋にきた彼女に、博道くんは彼女が強がって引っ込んでしまったらと考えてしまい、実行できずにいました。


ハルカ
『ねぇ。週末博道くんの家に行ってもいい?』
(57ページ 引用)


晴香のことを本当に愛するならと悩む博道くん。まず時雨の蜘蛛嫌いっていうのも3人の関係や性格などが出ていていいんだけど、お人好しかつ、直前に晴香から拒まれ、時雨に受け入れられたっていう現状が、ね? 何が良い選択なのかって考えさせられますよね。


さて、博道くんの家にやってきた晴香。しかし、時雨も晴香にくっついて入ってきちゃうんです。写真を見たり、思い出を語ったりした3人。晴香が買い物に出かける中、博道くんは、時雨に家を空けて欲しいと頼んだのに戻ってきた理由を問うんです。


「だって姉さん別に
おにーさんのこと好きじゃないですもん」
(93ページ 引用)


私を除け者にして仲良くするのがムカつくから邪魔しに来たという時雨。そんな時雨は博道くんに「姉さんが見ているのは、昔のおにーさん」と言ってしまうんですよね。動揺する博道くんに時雨は抱き着きます。


さらに、私を引きはがしたら、愛情を向けるのを一切やめると言い出すんですよ。ただ、博道くんは時雨を拒絶できませんでした。そうなんです、もう時雨のことが好きになっていたんですよね。晴香と一緒にいても時雨のことを考えてしまう博道くん。


彼女の妹から時雨として見てしまうようになってしまった。そんなとき、晴香が写っている写真がバズってしまいます。ここからはネタバレすぎるので言わないけど、選んでほしかった、真っすぐな気持ちにブレーキを踏む、少年の想いに胸が痛みました。


「――(前略)――。デートは別の日でもできるけど、大人は忙しいから、この機会を逃したらただの部長の後輩でしかないあたしなんかにはもう会ってくれないかもしれない。だから……本当に急でごめんなんだけど、今晩のデートはリスケさせて。お願いっ」
(203ページ 引用)


博道くんがそんな程度のことで怒るわけないのに。この晴香の一方的な信頼がどれだけ彼氏を傷つけているのか。少女にとっては、「たった、それだけ」でも、傷つきやすい真っすぐな少年なら、不安になり寂しく思っちゃうわけで。


そんな自分に優してくれる女性に揺らいでしまうわけで。許されないとしても理解できてしまう“不”純愛がまた良かったんですよね。関係を解消するのか、そのまま続けるのか、改善していくのか、次回はなんと最終巻らしいです。


時雨と一緒にいるところを晴香に見られた博道くんの大人な選択。3人の関係がどうなってしまうのか、楽しみですね。


以上、ラノ感でした!