
著者 野村美月 イラスト 竹岡美穂
本は読み手を、いつも見守ってくれている
本の声が聞こえる少年が想いを叶える
人と本のための物語、第2弾。
本の声が聞こえる少年が想いを叶える
人と本のための物語、第2弾。
あらすじ
本は読み手を、いつも見守ってくれている。本の声が聞こえる少年・榎木むすぶが、学園のアトリエを訪れると妖精が泣いていた。妖精のような少女は姫倉蛍といい、悠人先輩の妹だという。むすぶは先輩から妹が本に“罹患”しているのではないかという深刻な相談をされる。本と深く共鳴する“罹患”は、時に人を破滅的な行為に走らせてしまう危険な状態だ。さっそく蛍をよく知る本たちに話を聞きに行ったむすぶは、思わぬ壁にぶつかってしまい――。むすぶは本の言葉を解き明かし、少女の涙の理由を知ることができるのか!? (ファミ通文庫公式サイトより)
感想
本の声が聞こえる少年が人と本の問題を解決する物語! 本の声が聞こえる榎木むすぶが、万引きされて古書店で売られていた本や、妖精のような少女・姫倉蛍の問題を解決していく、健気な本たちと本を愛する人たちの想いと恋が楽しめる作品でした。
前回、ハナちゃんのところへ帰りたい『長くつ下のピッピ』や、冒険がしたい『十五少年漂流記』の問題を解決していた「本の味方」むすぶ。今回は万引きされて売られていた『小僧の神様』や、妻科さんたちの問題など、4つの問題を解決していました。
5話ある中で一番好きだったのは第四話「『すべてはモテるためである』と、ショートボブのキュートな彼女は言った。」。オッサン口調なモテ美さんと、サッカー部のエースの赤星さんが絡む会話劇が面白くて。
『すべてはモテるためである』(この本、本当にあるらしいです)。「なぜモテないかというと、それは、キモチワルいからでしょう」というインパクトのある言葉に衝撃を受け、がむしゃらに実践して、今ではサッカー部のエースとして活躍してモテている赤星さん。
ポンコツだった彼が、下着姿の女の子が表紙のその本を、買えずにうろうろしていたことや、他の本に紛れ込ませて買っていたことを話したり(これすごく共感しました)、励ましつつも「キモイ」「キモかった」と言ったりするモテ美さんと、最後の赤星さんたち4人でのハナちゃんへの〇〇に笑っちゃいました。
傍から見たらキモチワルイ眼鏡な「本の味方」むすぶの、本や人に対する接し方、助けてあげる姿はやっぱり憧れるものがあって。万引きした少年たちに告げた言葉や、映画の日本語訳つきの台詞集を読んで、聴いて、蛍さんに伝えた『嵐が丘』が語っていた英語のメッセージ、など。
鈍感すぎますけど、男女ともに人や本からもモテる理由が分かる気がします。第五話は夜長姫との出会いが語られて。今は嫉妬深い彼女ですが、昔にむすぶと何があったのか、この先が気になります。
案内書?としても楽しめる、人と本の問題を解決する温かい1冊。次はどんな問題を解決し、私たちにどんな本を見せてくれるのでしょう、楽しみですね。
以上、ラノ感でした!
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