
著者 竹町 イラスト トマリ
わたしはもう一度、娘と暮らしたいんです
思惑と策略が入り交じる饗宴が始まる
不可能任務に挑むスパイ物語第3巻!
思惑と策略が入り交じる饗宴が始まる
不可能任務に挑むスパイ物語第3巻!
感想
前巻(2巻)までのお話
スパイ殺し『屍』の排除の任務に、クラウスは4人のメンバーを選抜する。ジビア、リリィ、サラ、グレーテ。メイドとして屋敷潜入して警護することになった、実力に不安の残る4人は、暗殺者の弟子だったメイド長・オリヴィアと闘うことになる。
世界最強は、隣にいない。ボスに変装していたグレーテは、オリヴィアに生まれた時からの痣を見せ、この世界でただ一人、素顔を褒めてくれたクラウスの手柄を見た後、性愛に応えられないと告白の返事を貰って抱き締められたのだった。
試し読みまでのお話
リリィを引き連れて、ティアたちの行方を追うクラウス。『屍』に挑む前、協調性に欠ける、モニカ、エルナ、アネットをまとめることになったティアは『紅炉』に認められた才能を使い、協力をとりつけて――というのが試し読みまでのお話。
ここからは少しネタバレが含まれるので、読んでない方は注意してください。
惹き壊す時間よ
さて今回はアネットの母親と『灯』の最終兵器な回でした!
「コードネーム『夢語』
――惹き壊す時間よ」
――惹き壊す時間よ」
(43ページ 引用)
モニカ、エルナ、アネットをまとめることになったティア! クラウスの手に触れる試験を達成するため、彼女は「相手と三秒、見つめ合うことで他人の願望を読む」特技を活かし、お姉ちゃんが欲しかったエルナと、身長を気にしていたアネットを味方につけます。
しかし、モニカが1人で試験を達成していたんです。クラウスに少し連携を取ってくれと言われてしまった4人。モニカは仲間を利用して試験に挑んでいて、ティアとモニカが組めば、8人でクラウスの試験やミッションも上手くいくと思うんですけどね…。
マティルダ
クラウスたちが捜索に向かう4日前、4人は高級ホテルのプールで羽を伸ばしていました! アネット特製の巨大水鉄砲の標的にされていたエルナは「不幸……」と呻きながら喰らっていて。かわいそうだけど、不幸体質なこともあってなんだかほほえまですよ。
さて、4人が休暇を満喫している中、1人の女性がアネットに飛びついてきます。名前はマティルダ。彼女はなんと、アネットの母親だと言い出したんです。記憶喪失の俺様少女は分からないといっているけど…これは、ね?
「マティルダさん
――帝国のスパイだよ」
――帝国のスパイだよ」
(143ページ 引用)
食事をしていたところに現れた男たちを追い払い、工具箱を奪い返した4人。マティルダさんのパスポートを見つけたモニカはティアに、彼女が帝国のスパイであることを告げます。裏切者は同胞から殺される。『屍』との対決でスパイの末路を聞いていたティア。
「アナタは
『灯』の誰かに恋をしているのね?」
『灯』の誰かに恋をしているのね?」
(210ページ 引用)
アネットからお母さんを助けたいと言われたティアは、モニカと決闘を始めるんです。『焔』のボス『紅炉』の「ヒーローを目指し続けなさい」という言葉を噛み締め、モニカと唇を重ねて、彼女の恋心を読み取って協力することにした2人。
「コードネーム『氷刃』――時間の限り愛し抱け」 まだ特技は分からないモニカだけど、PVで判明している台詞や、芸術家と家出についても合わせて、今後もまだ注目ですよね。
『灯』の最終兵器
「『灯』の最終兵器――それが、
クラウスがアネットに与えた
役割なのだから。
クラウスがアネットに与えた
役割なのだから。
(314ページ 引用)
さて、マティルダさんを逃亡させるため、4人の秘密のミッションが始まっていきます。ここからはネタバレすぎるので言わないけど、今回もみごとに騙されました。『灯』選抜組と陸軍の闘い(第一戦)。『焔』を殺した宿敵の1人と闘うクラウス(第二戦)。
そしてやっぱり娘と母のスパイ対決(第三戦)! 1巻では描写(登場回数)が少なかった『灯』最大の問題児・灰桃髪の少女・アネットの残酷な選択。他のものが視界に入らないほど没頭する状態――忘我。316ページの挿絵と1文にはゾッとしました。
3巻まとめ
というわけで3巻の感想・レビュー?でした。
選抜組の4人は休暇中に、アネットの母親を名乗る女性・マティルダと出会っていましたね。帝国のスパイだった彼女を助けるため、モニカと闘い協力してマティルダを陸軍から逃亡させたティア。
リリィを引き連れて、失踪した選抜組の行方を追っていたクラウスは、ギードを撃ち殺した『蛇』のメンバー・白蜘蛛と引き分けて最後。アネットがマティルダの暗殺に踏み切り、彼女をコンテナに閉じ込め、マティルダは娘を殺そうとして自滅していました。
選抜組がアネットの母親と出会う3巻。協調性に欠ける4人が、想いと信条の先でぶつかり、辿り着くチームの形と、それぞれの個性と能力に魅せられ、騙され、終始引き込まれる面白さでした。
『灯』に足りないとされていた冷酷さを持つ少女の邪悪さは、スパイだけど恐ろしいですね。4巻はファーストシーズンの終幕ということで、宿敵『蛇』と闘うことになるのかな? 実力を伸ばした少女たちの活躍見逃せません!
以上、ラノ感でした!
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