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著者 竹町 イラスト トマリ

一年後、僕たち『灯』は離散する
落ちこぼれだった少女たちの
課外授業が今始まる
不可能任務に挑むスパイ物語第9巻!

目次1 ▯あらすじ
2 ▯感想

 

あらすじ

フェンド連邦での激闘の後、『灯』に与えられた十四日間の休暇。離島でバカンスを楽しむ少女たちに、クラウスは「最終日前日まで、全員集合してはならない」という謎の指令を下す。そして迎えた再集合の日――そこにアネットの姿はなかった。島に伝わる海賊伝説、呪われた殺人事件、そしてクラウスの許嫁を名乗る少女との出会い。散り散りに動いた十三日間の記憶を繋ぎ合わせ、少女たちは消えた仲間の行方を探る。そうして徐々に明らかになる真相は、一人の少女が得た変化の足跡と、次なる任務への予感をはらんでおり……。『どんどん悪くなる俺様を、それでも好きでいてくれますか?』

(ファンタジア文庫公式サイトより)

感想


前巻(8巻)のお話

白蜘蛛は自分が倒すと宣言したサラ。モニカが生死不明の中、『灯』最弱の少女はアネットが病室から脱走したことを知る。血を吐きながらもモニカを殺そうとしていたアネット。暴れるアネットを止めたサラは、ミーネたちに『灯』の守護者になると宣言。

病院に戻ったアネットからクノーに助けられたと告げられ、『蛇』を倒すために『灯』は『鳳』を蘇らせるという策を練る。そんな中、白蜘蛛は自伝を書いていた。藍蝗と出会い、《暁闇計画》を聞かされ、『紫蟻』や『炬光』ギードを仲間に加え、『焔』を壊滅させた『蛇』を作り上げた男。

小説を書き終えた白蜘蛛は、クラウスと戦うことを決意する。ジビアたちが『鳳』の技を組み合わせ、詐術を使いCIMを出し抜く中、クラウスの前に立った白蜘蛛は、ギードから教わった術を使い、捨て身で攻撃を仕掛ける。

しかし、スパイ同士の殺し合いの幕を引いたのは、アメリだった。死んだふりをして、最後に一矢報い右脚を打ち抜いたのである。劣勢に立たされたクラウス。そんなとき現れたのは、『蛇』最弱の彼の前に現れたのは『灯』最弱の少女・サラだった。

『炯眼』がランだと思っていた白蜘蛛に『炯眼』の正体が人ではなく、鷹のバーナードだったことを告げたサラ。バーナードが、アネットが作ったリリィの新武器、秘武器《失楽園》を持ってこさせたサラは、リリィの《失楽園》によって白蜘蛛を倒したのだった。


前回の感想はこちらから

登場人物をまとめたりもしているので、良かったらこちらも見て見てくださいね!




試し読みまでのお話

フェンド連邦での激闘の後、『灯』に与えられた十四日間の休暇。離島でバカンスを楽しむ『灯』の前に現れたクラウスの知り合いだという少女・ラフタニアは、クラウス様の許嫁だと言い出して――というのが試し読みまでのお話。

ここからは少しネタバレが含まれるので、読んでない方は注意してください。



バカンスを楽しむ『灯』

さて今回はバカンスと我楽多と秘武器な回でした!(今回は語りたいことが多すぎて長くなっちゃってます!)


フェンド連邦での激闘の後、十四日間の休暇を与えられた『灯』! 最終日前日まで、全員集合してはならないという謎の指令をクラウスが下す中、『灯』たちの前にある少女が現れます。名前はラフタニア。『焔』の任務でクラウスと出会っていた少女です。


「――儂は、クラウス様の許嫁じゃ」
(48ページ 引用)


そんなラフタニアと再会したクラウス。しかし彼女がこう言い出すんですよね。もちろんグレーテは黙ってません! クラウスに詰め寄ります! ただクラウスは今回も天然発揮していました。次会えたら嫁にもらってくれるか?と言った彼女に「考えておく」と言っていたんですよ。


昔は行動が全部雑だったというクラウス。いまも授業とかその名残があるけど、どうなんでしょう、下手なだけ? さてバカンスは続きます。三ヵ月に一度、惨たらしく島の誰かが殺される、という大海賊ジャッカルの呪いを聞いたグレーテたち


「実は、わたくしも――クラウス先生の婚約者なのです」
(70ページ 引用)


そんな呪いや殺人事件などはありましたが、グレーテたちには関係ありません! 気になるのはラフタニアとクラウスの関係! アネットが何故かラフタニアに加勢する中、耐えられなくなったグレーテはクラウスの婚約者だと告げちゃいます


変装したらすぐに気付かれちゃうような嘘を…と思っちゃうわけですが、ラフタニアには効果抜群。寝込んじゃいます。可愛い子ですよね…うん。さてさて、黒髪のサキュバスというティアに関わってそうな噂が話題になっている中、ラフタニアの母親が呪いによって殺されていたことを知ったグレーテたち


「ただ、それでも、ほんの少しの心変わりを願うことは高望みなのでしょうか……?」
(98ページ 引用)


ラフタニアがクラウスに想いを告げて失恋し、グレーテがもう一度思いを告げ、温かな家庭を気付くことを夢想しないわけじゃないと告げられる中、大海賊ジャッカルの海賊船が目の前に現れます


ここからはネタバレすぎるので言わないけど、リリィたちとティアが暴走していましたね。ティアはやっぱり黒髪のサキュバスとして男たちを誑かしていて。モニカに淫猥サキュバスなんて言われているけど、「紫蟻」を追い詰めた少女はどこに行っちゃったのか…。


「――私はいずれ『灯』のボスとなる。アナタたちを率いて、世界を救う英雄となる」
(155ページ 引用)


そんなティアだけど、ちゃんと変わっていっていて。憧れの存在であるフェロニカに近づくため、『灯』のボスの座をクラウスから奪い取ると宣言していたんですよね。そして、サラと殺人事件の謎にも迫っていて、8巻でほんとに全員が変わったよね。


ただ変わらなかったバカ3人の思考。どうしてこうなったのよ! 海賊船を見つけ出しちゃったリリィとジビア、モニカの3人。ただ、銃弾で甲板に穴をあけて、銃弾探しに…。ティアのところは「お前らかよ!」と思わず声出して笑っちゃうほどでした…。


「一年後――僕たち『灯』は離散する」
(263ページ 引用)


そんな3視点で上手く繋がっていて、今回も面白かったわけですが、サードシーズン開幕、これだけじゃ終わらなかった。序盤語られた、今回のタイトルにもなっている少女・アネットの失踪。そして今後の『灯』の行方。


《暁闇計画》の全貌を掴む。そのために異国の地で周囲を欺き続けなきゃいけない。サードシーズン、課外授業が幕を開けていくわけですよね! もうネタバレ語らないと言いつつ、語りまくってるんだけど、ヤバくないですか!


今までは『灯』で戦ってきた。しかし、これからは個性で戦わなくてはいけない。強くなった成長した、外見も変わったリリィたち。それでも別れちゃうと何もかもが変わってきます。本格的なスパイ戦、実戦が始まっていくわけです。


――《失楽園》――《悪戯娘》――《夢幻劇》――《万愚節》――《天邪鬼》――《付焼刃》――《高天原》
(276ページ 引用)


そこでアネットが用意していたのは秘武器。今回のバカンスで彼女はさらに恐ろしくなった。それでも『灯』のために新たな力を用意した。8巻ではリリィの秘武器だけが明らかになりましたよね。それが全員分ですよ。


多分グレーテが《悪戯娘》、ティアが《夢幻劇》みたいな、アネットを抜いた巻キャラ順になっていると思うんだけど、タイトルにもなってくるでしょう。時間が世界に変わった口上も加わるでしょう! これをアネットがやったんですよ? この子が一番変わった気がします。


「秘武器《我楽多》――崩れ醒める世界にしましょうっ」
(324ページ 引用)


そして場面は変わり、1年後のライラット王国。『煤煙』ルーカスと『灼骨』ヴィレの『焔』の双子が残していった地に2人の少女。モニカとアネットが、彼らと同じ目標を掲げて活動し始めます。さぁ、2人はどうなっていくのか。


《事故》と《工作》がどう交ざるのかも気になるところ! タイトルは《万愚節》のエルナなんですかね? 他のメンバーがどこに行ったのかとか、今回出てこなかったランの行方とか、ライラット王国最強の防諜屋『ニケ』も出てくることでしょう。いろいろ気になる! 10巻が楽しみすぎます!


以上、ラノ感でした!