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著者 二語十 イラスト うみぼうず

美人だな。 月華さんだからね。
シエスタとの出会いは上空ではない⁉
これは助手と名探偵が出会う物語。

目次1 ▯あらすじ
2 ▯感想

 

あらすじ

名探偵の私・シエスタと助手・君塚君彦の出会いは、地上一万メートルの上空、ハイジャックされた飛行機――ではない。「あなたには、日本へ行ってもらいたいのです」本当の始まりは四年前、《連邦政府》から受けたあるスパイの捜索依頼。日本に飛んだ私が加瀬風靡の協力を得て彼の関係者との接触を図ると――「ちょうどいい、お前も覚えておけ。その腹立たしいクソガキの名前は――」ねぇ、助手。どうして私が君を旅に誘ったのか、不思議に思ったことはない?今から語られるのは、三年にわたる目も眩むような冒険劇を繰り広げた君ですら知らない、私だけの秘密。あの遙かな空の出会いに至るまでの、真の始まりを描く前日譚。

(MF文庫J公式サイトより)

感想


前巻(5巻)のお話

夏凪の心臓によって生き返ったシエスタ。ミアに夏凪を救って見せると宣言したシエスタは、助手と共に囚われた斎川を助けるため、シードとの最終決戦に挑む。《人造人間》を倒し、斎川を救った君塚。

そんな君塚は、倒された《人造人間》たちの「生きたい」という願いを聞き、ある仮説が浮かぶ。それはシードが力をクローンに分け与えていたのは「子孫を生き残らせるため」という望みのためというものだった。仮説をシードに告げた君塚。

しかし、シードはそれを聞いて行動を開始してしまう。アリシアの心臓を借り、シードの号令によって目覚めたヘル。お父様の想いを、約束を胸にヘルが君塚とシエスタと協力。ルビーの剣によって世界の危機は終わりを告げたのだった。

が、それは始まりに過ぎなかった。眠り続ける夏凪。《調律者》たちとの会議で、夏凪への《名探偵》引き継ぎ宣言を終えた君塚たちは、新たな敵・《怪盗》アルセーヌと出会う。彼女に宣戦布告した《名探偵》シエスタ。しかし、シエスタは、君塚の前からまた姿を消してしまった。

ノーチェスから、シエスタの左胸に《種》の破片が残っていて、怪物になる前に消えようとしていることを知った君塚たち。シエスタを止めるため、彼女と対峙した君塚は、夏凪と一緒にシエスタを止め、意識を目覚めさせない限り《種》は成長しないという《種》の効果を用い、シエスタを眠らせ、いつか必ずお前の眠りを覚ますと誓ったのだった。


前回の感想はこちらから


試し読みまでのお話

シエスタと出会う前、ダニーという男と生活していたことを夏凪たちに話し出した君塚。シエスタの手帳を見たノーチェスは、過去にシエスタが《連邦政府》からダニーを捕まえてほしいと言われ、日本に来ていたことを知り――というのが試し読みまでのお話。

ここからは少しネタバレが含まれるので、読んでない方は注意してください。



ダニー・ブライアント

さて今回は《名探偵》と《名探偵》な回でした!


助手と出会う前、《連邦政府》のアイスドールから、機密文書を持ち出したとされる、ダニー・ブライアントを捕まえてほしいと言われ、日本にやって来たシエスタ! 殺し合った中でもある風靡さんとあったシエスタは、ある1人の少年の存在を告げられます。


その少年が誰かっていうのは、もちろん君塚なんだけど、いったんそれは置いといて。シエスタが風靡さんのターゲットになっていたなんて、ね? 君塚のことも問題児として昔から知っていたみたいで、ここまでつながりがあったなんて、びっくりですよね。


「これからお前があらゆる事件に巻き込まれ、あらゆる敵に遭遇し、あらゆる危険に瀕した時、お前の隣を歩く誰かが必ず現れる。そう決まっているんだ」
(70ページ 引用)


さて話は変わって君塚くんターン。ダニーに引き取られ、一緒に暮らしていた君塚は、金融から金を盗み、子供に暴力を振るう依頼人の家にやってきていました。子は親を選べない。親ガチャって言葉が流行っていたけど、こんなことを言うダニーに何があったのか…気になりますよね。


またまた変わってシエスタターン! 今回はなんども変わるんです。目次見てびっくりしました。フォント変わってるって(たぶんそこじゃない)。ダニーの手がかりを得るため、マスターキーを使って、ダニーの家に無断侵入したシエスタ!


「私の名前は、月華、白銀月華」
(93ページ 引用)


手がかりがなく? 君塚を探していたシエスタは、事故現場で包丁を持った君塚と出会います! 警官に変装していて、白銀月華と名乗ったシエスタ。そんなシエスタは、君塚の取り調べを始めるんです。まず、言いたい。飛行機の中じゃなかったんかい! と。


1巻で飛行機の中で初めて出会った風に書かれていたんだから、そうって思って読み進めていたらこれですよ。どうやら、君塚から見たら初めてだったみたいで、シエスタから見たらあっていたってことは、ね? いろいろと想像しちゃいますよ。


さて、話は戻して、包丁を持っていた君塚少年。結論からいっちゃうと、彼は犯人を庇っていました。巻き込まれ体質を逆に利用して、難病の娘が手術するから会いに行きたいといった犯人のため、1日だけ犯人のフリをしていたそうです。君塚っていつもはあれだけど、頭いいよね。


「ああ。ダニー・ブライアントは
――一年前に死んでいる」
(185ページ 引用)


さてさて、無罪放免になり、家に帰った少年君塚。そんな君塚はダニーからおれを追っている奴がいるかもしれないから、しばらく旅に出る、と、今回ばかりは厄介な仕事と告げられ、白銀月華(シエスタ)と少年君塚のダニーを探す旅が始まっていきます!


ということで、今回もここからはネタバレすぎるので言わないけど、白銀月華(シエスタ)と少年君塚、出会ったばかりなはずの2人が、君塚とアリシアのときのような、すでに探偵と助手のような、ツッコミもしあえる関係で、ダニーを探していて良かったんですよ!


「ダニー・ブライアントが先代《名探偵》であった事実を私に伝えなかったことに、何か意図はある?」
(283ページ 引用)


ダニーが何度も出入りしていた児童養護施設に行き、《情報屋》ブルーノにダニーのことを聞いて、辿り着いていくダニーの真相。《種》との繋がりもあって。「探偵はもう、死んでいる。だけどその遺志は、決して死なない。」 この言葉にシエスタから夏凪たちへだけではない、さらに次の世代まで見えてくるものもあって。


今回はシエスタと君塚の本当の出会いが語られたわけですが、探偵の遺産な4人はどうシエスタの眠りを覚ましていくのでしょう。助手の活躍も見ていきたいですね!


以上、ラノ感でした!