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著者 羊太郎 イラスト 遠坂あさぎ

私は――騎士には……
王家の伝承を巡る
王道ファンタジー第2巻!

目次1 ▯あらすじ
2 ▯感想

 

あらすじ

亜麻月天狐は、気高き亜人族『天華月国』の生まれ。剣の才覚を持ち、国を守護する武家で育った彼女はいまや、亡国の名もなき剣士。主君に仕え、魔法騎士学校に通う日々。そんな彼女はある日、一人の教官と出会った。

(ファンタジア文庫公式サイトより)

感想


前巻(1巻)のお話

前回の感想はこちらから


試し読みまでのお話


最強の剣士と謳われた母に育てられたテンコ。暗黒騎士により母と国を失っていたテンコは、他の子達がシドへ挑んでいる中1人、絶対騎士になるんだからと思い詰めていて――というのが試し読みまでのお話。


ここからは少しネタバレが含まれるので、読んでない方は注意してください。



亜麻月天狐

さて今回はテンコと天華月国な回でした!


一年従騎士の半年間の修行の成果を試す、四学級合同交流試合開幕! しかし、竜と戦って民衆からの評価を得たアルヴィンたちのことが気に食わない人たちのせいで、ブリーツェクラス学級は全員、剣格が段違いな精霊位と戦うことに。


しかも、剣を直す為や待遇レベルを上げるために必要な、功績点まで賭けることになって。さらにアルヴィンは全体の1%しか手にすることができない神霊位の剣を持つ少女・ルイーゼと戦うことになるんですよ! そこまでして三大侯爵家は…。


「俺が今のお前の全てを見届けてやる。
今のお前の剣から、
お前が一体、何に躓いているのか
……必ず看破してやる。
――(以下略)――」
(98ページ 引用)


剣格が違えば戦いにもならない。イザベラやアルヴィンたちはもちろん猛反対! しかしシドは堂々と「それでいい」とのたまっちゃうんですよね。皆の今の強さが分かるからこそ、余裕綽々で捨て台詞まで残せるんだろうけど、私だったらシドを叩いてますよ…まったく。


さて、まだテンコがウィルを使えない中、四学級合同交流試合が始まってアルヴィンの出番がやってきます。戦う相手はもちろん神霊位の剣を持つルイーゼ。試合開始の瞬間に負けてしまう――誰もがそう思っていたんですが、なんと勝ったのはアルヴィンでした


「な? お前達の艱難辛苦の半年間は
……お前達が今まで必死に
積み重ねてきたことは、
決して無駄じゃなかったんだよ」
(118ページ 引用)


限られた騎士にしか使用できない奥義を使われても、勝つことができたアルヴィン。この試合に勝てたのは、ウィルだけじゃなく、高剣格に対抗しようとして頑張って技を磨いてきた皆の努力の結晶でもあって。シドの台詞を見たときはうるってきちゃいましたよ。


皆が精霊位に勝利し、行われた祝賀会。だけど1人、0勝3敗だったテンコだけは途中退室しちゃいます。追いかけたシド。そんなシドはテンコに、本当は騎士になりたくないと、そう思っているな?と告げるんですよね。


「わ、私……ひっく……ほ、本当は……ぐすっ……えぐっ……騎士に……騎士になんか……なりたくなかったんです……ッ! 戦うことが怖いんです……ッ!」
(167ページ 引用)


憧れていた母親が目の前で殺され、あの時心が折れましたと本音を口にしたテンコ。学校を辞めるとまで言った彼女に、王を目指すアルヴィンのことをあげ、騎士への決断を問うシド。アルヴィンとの主従な関係もいいけれど、この師弟関係もまた騎士道があってよかったんですよね。


さてさて、騎士になると決断しウィルを発現させたテンコ。しかしテンコは王冠の少女・エンデアに攫われてしまいます。ここからはネタバレすぎるので言わないけど、闇落ちしたテンコと戦い、彼女を救い出す、騎士と王の想いののった姿が良かったんですよ!


「僕は死なないし、
テンコも救う。
それが僕の王道です」
(237ページ 引用)


明かされた少女の正体。彼女は一体何者なのか! 高め合う仲間であり、騎士として守り支える主でもあるアルヴィンとの感動的で熱いシーンもあって。師匠から騎士道を教わった少女はどう成長していくんでしょう、3巻も楽しみですね!


以上、ラノ感でした!