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著者 二月公 イラスト さばみぞれ

あなたの魂の演技を信じています
がけっぷち声優・歌種やすみが躍進する
声優ラジオの青春エンタメ第3巻!

目次1 ▯感想
2 ▯3巻まとめ

 

感想


前巻(2巻)のお話

前回は、裏営業スキャンダルが収束を迎え、歌種(由美子)はマネージャーの加賀崎さんと謝罪に行っていましたね。先輩声優・柚日咲めくるに強烈な言葉を突き付けられた2人は、素のキャラを強めに出していくことになって。

桜並木さんの裏の顔、めくるがファンだったことが判明し、千佳の母親が声優を止めさせると言い出してラスト。ファンに悪意がないことを証明するための勝負に挑んだ2人は、ファンの声に押され走り出していました。


試し読みまでのお話

仕事が無い歌種やすみ、そんな崖っぷちに舞い込んだのは、夕陽主演・神代アニメの宿敵・シラユリ・メイ役だった。しかし、シラユリ役に合格したのを境に、千佳が不機嫌になってしまい――というのが試し読みまでのお話。


ここからは少しネタバレが含まれるので、読んでない方は注意してください。




不機嫌な千佳

さて今回は憑依型声優・歌種やすみが壁を乗り越えていく回でした!


歌種さんがシラユリ役に合格してから、不機嫌になった千佳。好物(手作りハンバーグ)にも耐えた彼女は、出演するのが夢だった神代アニメのオーディションに、ライバルが受かったから、不機嫌になっていたんです。


「ファントムよ、ファントム! あなたがファントムのオーディションに合格したって聞いたの!」
(68ページ 引用)


どっちとも、“負けたくない”っていう強い想いがあるからこそ、意識しているからこその千佳の態度がもう、可愛い! 挿絵付きで歌種さんが笑ってますから! 逆だったら「なんであんたが」って突っかかっていっていたんでしょうかね。


このままで終われるか……

『幻影機兵ファントム』のアフレコ初日。歌種さんは緊張しながらスタジオ入りします。前とは違いピリッとした空気の神代監督、憧れのプリティア声優の大野さんと森さん、など、スタジオにはそうそうたる顔ぶれが


主人公の宿敵という大事な役どころで延々と演技指導された歌種さん。だけど、言われたとおりに演技を直さなければ、と思うたび演技が崩れていってしまったんです! 何度もリテイクで後回し、茫然としていたときに、大野さんがこう言ってきます。


「ぼうっとしてんじゃないよ。こんだけの人の演技を目の前で見られるんだから、普通は目ぇキラキラさせて勉強するところだっていうのに」
(95ページ 引用)


言われた演技ができないのは辛いこと。それでも、アニメは1人で作ってるものではないから、人の演技は邪魔してはいけないという大野さん。ベテランの言葉はやっぱり重みが違いますよね。


千佳に笑いながら言い訳したことで失望され、いなくなった後で「渡辺……っ!」という歌種さんの姿。このアフレコからのシーンはずっと苦しくなりながら、「わかる、わかる」「頑張れ」って言いなってました。


憑依

「演じようとするな、降ろせ。」と加賀崎さんからアドバイスを貰い、若葉とカラオケに行って、お母さんからも「とにかく笑顔笑顔」と応援された歌種。千佳とめくる、桜並木さんとラジオ合同イベント、焼き肉に行った彼女は、最期の回に挑みます。


「――わかった。やってみる。渡辺、聞いてくれる?」
(290ページ 引用)


ここからはネタバレすぎるので言いませんが、桜並木さんの同期に向けていた想いを聞き、こんなことをしたくないという思いもありながら、自分からライバルである夕暮夕陽に「力を貸してほしい」と頭を下げる姿が印象的でした


初回は時間切れで明日に持ち越し。大野さんが、業界に残れると感じた後輩にしか、注意しないことを知り、音響監督の杉下さんから「あなたなら、120点の演技ができるかもしれないと思った」から採用したことを告げられ、本番。シラユリと歌種さんの魂の演技に引き込まれないわけがない。演技が終わった後、言葉を失いました。


3巻まとめ


というわけで3巻の感想・レビュー?でした。

仕事がなくがけっぷちだった歌種が、夕陽主演・神代アニメの宿敵・シラユリ・メイ役に合格していましたね。ライバルが受かったことで千佳の機嫌が悪くなって、『幻影機兵ファントム』の初日のアフレコで演技が崩れてしまった歌種。

憧れのプリティア声優に注意され、千佳には失望された彼女は、加賀崎さんからアドバイスを貰い、クリスマスイブに若葉たちとカラオケに行って、及第点に届いて。千佳とめくる、桜並木さんとラジオ合同イベントをして、焼き肉で先輩からアドバイスを貰い迎えたシラユリ最後の収録。

何度も何度もリテイクを重ね、別撮りになった歌種は、ライバルである夕暮夕陽に頭を下げて、力を貸してもらってラスト。千佳、森さん、大野さん、憧れの声優三人がいる中で、彼女は壁を乗り越えていました。

がけっぷち声優・歌種やすみが壁を乗り越えていく3巻! 悔しい。やめろ。見るな。こんなはずじゃない。このままで終われるか。など、結果を求められる世界で、焦って崩れ、壁にぶつかった歌種の感情に胸が痛くなりました。

ライバルの力を借り、憧れの声優三人に「どうだ、これがわたしの演技だ、参ったか」くらいの胸を張る気持ちで、見せつける声優・歌種やすみの姿、彼女の憑依する演技に圧倒されました。すごく面白かったです。

ライバルの演技を間近で見て、夕暮夕陽はどう変わっていくんでしょう。4巻楽しみですね。

以上、ラノ感でした!