
著者 海空りく イラスト さばみぞれ
晴香、本当に俺のこと好きなの?
重ねられた唇の感触が忘れられない
"不"純愛ラブコメ、『堕落』の第2巻!
重ねられた唇の感触が忘れられない
"不"純愛ラブコメ、『堕落』の第2巻!
感想
前巻(1巻)のお話
人生で初めての恋人・晴香と、交際一か月にしてやっと手を繋げた博道。彼は同日、親が再婚し晴香そっくりな義妹・時雨と一緒に暮らすことになる。
両親が離婚し、離れ離れになっていた晴香の双子の妹だった時雨にからかわれながら、ときに彼女と姿を重ねながら、博道は一緒に暮らしていることを晴香に隠していた。そんなとき、博道は晴香とデートをすることになる。
両親との過去から愛だの恋だのに対して、幻想を抱かなくなっていた時雨。今ある人間関係を脅かさないため、相沢とのデートをしていた彼女は、晴香と博道のキスを見てしまい、生まれて初めての恋を知って、博道にキスをしたのだった。
試し読みまでのお話
時雨とのキスを忘れられない博道。キスの毒を取り除くため、晴香にもう一度キスをしてもらうことにした彼は、彼女にLINEで晩御飯のお誘いをかけて――というのが試し読みまでのお話。
ここからは少しネタバレが含まれるので、読んでない方は注意してください。
看病
さて今回は恋する欲求と、触れられず蝕んでいく猛毒な回でした!
晴香とのラーメンデートで計画がご破算になってしまった博道くん。時雨とのキスのせいで、デートも楽しめなくなっていた彼は、時雨に嫌われようとします。しかし時雨は風邪を引いていたんです。博道くんは学校を休み、彼女の看病を始めます。
まず言わせて――えちぃ! 表紙からすでに妖艶さが現れていたけれど、さばみぞれ先生が「唇にこだわりました!」と書かれているほど、看病シーンの75ページの挿絵の唇、そして吸い込まれそうなほど、近づきたくなるほどの舌の肉感?に震えましたよ。
今、……この白いうなじに鼻を寄せて、
……思いっきり吸い込んだら……、
……どうなるんだろう。
俺はどうなってしまうんだろう。
……思いっきり吸い込んだら……、
……どうなるんだろう。
俺はどうなってしまうんだろう。
(83ページ 引用)
看病をする博道くん。お粥を食べさせて、身体を拭いてあげて。正直に私はこの看病シーンで時雨からの大胆なアクションがあるかなと思っていたんですけれど、この博道くん視点で描かれるゾクゾクする描写、時雨も分かっていてつけこんでいてね。もう、怖いです。
海キャンプ
一番好きな、一番大切な女の子の唇の感触を思い出したい(取り戻したい)。アメリカから送られてきたキャンプ道具に、博道は海キャンプを開催することにします! 水着を選び、海で遊んだ博道くん。彼は晴香を付帯きりで星を見に行くことにするんです。
「博道くんは、
そういうのちゃんと
わかってくれるって思ってたのに」
そういうのちゃんと
わかってくれるって思ってたのに」
(154ページ 引用)
ナンパ男を怒鳴り声で追い返していた晴香。友衛と虎子先輩のキスを見て、真っ赤になって逃げ出した2人はキスをします。愛を囁き、感触を思い出し、ピュアな衝動に従い、情熱的なキスをしようとする博道。しかし、晴香に突き飛ばされちゃうんですよ。
好きな人だったら、さらに追い求めたい。それも友衛たちのキスを見た後だったらなおさら。青少年だったらそういう感情になるんじゃないかなって思うんだけど、晴香はこういうのは『好き』じゃないと。焦りすぎたかもしれない。いや、違うよ、博道くん…。
堕落
晴香は本当に俺のことが
――――好きなのか?
――――好きなのか?
(159ページ 引用)
晴香に逃げられ、時雨に抱き締められた博道は、弱い自分を許してくれる、受け止めてくれる時雨を求めていくようになります。ここからはネタバレすぎるのであまり言わないけれど、両親のせいで歪んでしまった晴香の恋愛観に衝撃を受けました。
「嫌悪」してしまった晴香。手を繋ぐ好意でさえ、不安を伴うようになり、時雨を求めるようになるピュアで優しい博道。私のすべてを尽くして幸せにしてみせる覚悟がある時雨。もう元には戻れそうにないこの不純愛。早く続きが読みたいです。
2巻まとめ
というわけで2巻の感想・レビュー?でした。
時雨にキスをされた博道は、彼女とのキスを忘れられず、晴香とのキスで上書きしようとしていましたね。晴香とデートして、時雨の看病をして、海キャンプを楽しみ、晴香とのキスで気持ちが高ぶり抑えきれなくなった彼は、彼女に突き飛ばされて。
こういうのは『好き』じゃないと告げられ、自己嫌悪に浸っていた博道は、時雨に受け止められてラスト。晴香に触らないで、と拒絶された博道は、時雨に縋りついて泣いていました。
『いもキス』堕落の第2巻! キスの毒が蝕み、取り除こうとする博道の愛情表現と、晴香の歪な恋愛観の溝に揺さぶられ、寄り添ってくれる時雨の愛情という名の毒に、読んでいる側まで侵されていく“不純愛”に魅せられました。最高に面白かったです。
3人の恋愛劇はどうなっていくのか、3巻が待ち遠しいです。
以上、ラノ感でした!
コメント
コメント一覧 (6)
3巻刊行は決まってるんでしょうね
ファンブルな時雨のバラシ(同居&博通への思い)に対して晴香のクリティカルな反撃に打ちのめされるような気がしますがどうなるんでしょうね
晴香「博通くんが好きなのは時雨じゃなく私だよ 時雨 貴女が博通くんを好きなのは私の彼氏だからなんじゃないの?」
時雨「…………」
こんな感じで
抱かれる前にバラスなんてタイミング悪すぎとしか
相沢とのデートのとき出たあの「気持ち悪い」というアレ
博通との時も出るのではないかと思えてならないんですよね
優しい兄の顔をしている博通には何をされても悦びしか感じないが
欲情する男の顔になったとたん相沢の時のような激しい嫌悪感がこみ上げてくるとか
コメントありがとうございます!
2人の恋愛観が別れた両親の影響を色濃く受け継いでいたので、高尾と母の関係から、あるかもしれませんね。
今は優しい臆病な兄で手を出さないことが分かっているけれど、本気で迫られたら、身体が拒んでしまうような感じでしょうか。
相手を好きと思えば思うほど触れたくなるのは当たり前、と時雨が思っているので、「気持ち悪い」になる範囲か分かりませんが、今回のキスは時雨ではなく晴香として受け止めていると考えたら、大人なキスでもなってしまうのかもしれません。
晴香「え?どうして時雨が?もしかして今病院に居るの?博通くんは無事なの?」
と一人パニクる晴香を宥めてるうちに時雨は毒気を抜かれる
母親が再婚したのが博通の父で今一緒に暮らしてると伝える
「なーんだそうだったの どうしてもっと早く教えてくれなかったの?」と晴香ノーダメージ
(誰のために内緒にしてたと思ってるんだ!)と内心イラッとしながら
博通は傷ついている彼をこれ以上苦しめないでという時雨に晴香は
それで博通くんは私と別れたいと言ってるの?
でなければこれは私と博通くんとの二人の問題よと一蹴
晴香の方はこのまま二人で暮らすのは良くないから時雨に才川家に戻って来ないかと提案
時雨拒否通話終了
一線を越えてなければたいした変化はないように思います
コメントありがとうございます!
私も時雨と晴香の電話はコメ主さんと同じ感じになると思っています。
博道くんのスマホで時雨からかかってきたら、「どうして時雨が?」になるのは必然として、あのラスト台詞からだったら「私と博道くんとの二人の問題よ」や「時雨もそういうことをいうの?」となってもおかしくないですからね。
時雨が博道くんを思い、一緒に暮らしていることを告げるのか、告げないのか。ピュア晴香の分かれ目だと思うので注目したいです。