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著者 ミサキナギ イラスト れい亜

水無月にそっくりなオートマタ?
戻ってきた騎士が新共和国の公女を守る
正義と反抗のバトルファンタジー第4巻!

目次1 ▯感想
2 ▯4巻まとめ

 

感想


前巻(3巻)のお話

前回は、ハウエルズの策略で首都・イエッセルが反吸血鬼感情に支配されていましたね。リタが《HW式》から同胞を庇い、イエッセル条約が破棄されて。カノンたちが反抗作戦を立て、水無月が告白し、迎えたコンテスト。

カノンが作った家庭用オートマタ《白檀式改》桜花の暴走を止めた水無月は、ヴィルヘルムの脳が使われている、軍事用オートマタ《HW式》大隊長機第一号の一撃から、カノンを守っていました。


試し読みまでのお話

水無月と桜花を失い、リタの導きでイエッセルを脱出して、吸血鬼王・ローゼンベルクから新大公に推挙されたカノン。イエッセルにある中央本部では、南部の村々を空爆すると言い出したハウエルズが軍人たちを――というのが試し読みまでのお話。


ここからは少しネタバレが含まれるので、読んでない方は注意してください。




ゼクス

さて今回はリベリオ・マキナな回でした!

カノンを守るため、ヴィルヘルムに斬られた水無月。しかし、彼は吸血鬼になって生きていたんです!。やっぱり吸血鬼になっていましたね。覚醒してすぐ「カノン――!」と言って。前回の「水無月っ‼」という悲痛な声から繋がっていて、うるってきちゃいましたよ。


「俺はカノンと対等でいたい。
あいつを幸せにするために」
(82ページ 引用)


吸血鬼の魔術を使って施設を脱出した彼は、カノンを見つけて吸血欲求が止まらなくなっていました。尾行をユーリに気づかれて正体を明かして、吸血と〈魅了〉するのを恐れて、「カノンたちに正体を明かすつもりはない」と告げた水無月。


吸血鬼になってから、まともな感性を得ていたようで、過去の破廉恥行動に悶えていて…さすが、男の子ですよね。「六」(ゼクス)と名乗ることなった水無月は、カノンの誕生日とクリスマスイブのパーティで、ターキーにかぶりついていて。違和感がすごい!


《白檀式改》紫陽花

さて、パーティを楽しんでいたカノンたちのところに、爆撃機と《HW式》が現れます。ナイフで交戦しようとした水無月は、一撃も与えられず雪に埋まってしまって。雪で体温を偽って生き残ることはできたけど、今後どう戦っていくんですかね。


彼の殉じた理想に、自分の人生を捧げるのだ。吸血鬼王が新公国へ攻めようとする中、カノンは私も戦わせてくださいと言い出して。リタもまた彼の強さに甘えていたと鍛錬をしていて。まだ水無月が生きていることを知らない2人の決意や想いにはグッときますよ。


「初めまして。
僕は戦闘用オートマタ《白檀式改》紫陽花です。
皆さん、今日から宜しくお願いします」
(138ページ 引用)


カノン直属の近衛兵になることになった水無月。そんなとき、カノンは戦闘用オートマタ完成したよ、とお披露目してきます。名前は《白檀式改》紫陽花。そんな紫陽花は、水無月そっくりだったんです! カノンの心は大丈夫なんですか!?


世界に抗う絡繰少年

さて、終始ニコニコしているカノンと、されるがままになっている紫陽花、そしてリタと、ショッピングモールに行った水無月は、置き去りにしてしまったカノンが、紫陽花の名前を呼んだことで、「カノンの心にはもう、紫陽花しかいないのだ」と思ってしまいます。


「王子様、ここから出られたら、
わたしと一緒にいてくれる?」
(231ページ 引用)


ここからはネタバレすぎるので言いませんが、公女として演説していた途中で、やっぱりダメ、と素性を暴露し本心で語るカノンの言葉が良かったですね。カノンが水無月を庇い、吐露した内面。紫陽花の容姿を水無月そっくりになった理由や、幼女時代の過去も語られて。


紫陽花に「ずっと一緒だからね」と告げ、戻ってきた水無月を見た少女の姿。展開は早かったですが、ハウエルズとの最終決戦では、水無月とリタが一緒に戦っていて。絡繰少年の奥義と、少女の想いが届いた結末。ラストには走り出す3人の挿絵も描かれていて、いい物語でした。


4巻まとめ


というわけで4巻の感想・レビュー?でした。

カノンが吸血鬼王・ローゼンベルクから新大公になる提案を受けていましたね。吸血鬼になって感性を取り戻し、彼女たちに正体を隠して、ゼクスとして陰から護衛していた水無月は、カノン直属の近衛兵になることになって。

水無月と瓜二つの《白檀式改》紫陽花がカノンによってお披露目され、始まっていく集会とハウエルズとの最終戦。本心で勝負した白銀の少女は、ゼクスを庇い銃で撃たれ。カノンの想いを聞き、人工頭脳になった水無月は、紫陽花の身体を使って絡繰騎士に戻って。

首都イエッセルに進軍したローゼンベルクは《HW式》を一掃。ハウエルズと相対した水無月はリタと共に、『世界に抗う絡繰少年』としてブラッディソードで戦い最後、カノンが用意していた奥の手で、ヴィルヘルムの身体ごとゼンマイを貫いていました。

吸血鬼軍 VS 新公国軍の第4巻! ヘルヴァイツ編閉幕。カノンとリタと水無月(ゼクス)、3人の決意と想い、本心に胸が締め付けられました。ハウエルズ戦では、前回が絶望へ畳みかけていく様と、ヴィルヘルムが自我を取り戻して攻撃していたこともあって、少しだけ物足りなさはあったかな…。

だけど、カノンに作られた《白檀式》水無月の攻防には熱くなって。『不適合』と呼ばれていた理由も明らかになり、ゼクスとの過去もあって、最後の校舎へ走っていく3人に魅了されました。今回も面白かったです。

極東国編や、神聖ドイツ帝国編があって欲しい! 続刊、もしくは新刊、楽しみにしています。


以上、ラノ感でした!